絵図板を書く理由
2012.09.30
先日、ある設計士の方が
「坂口さんて、凄いね~~」て言ってこられました。
「どこが???」て尋ねると
「だって、この板の図面、坂口さんが書かれたんでしょ??」と、
「そうだけど…凄いですか?」
「今時こんなの書かれる大工さんて、そういませんよね
この伏図なんかも…」
てな、会話。
正直、「凄いね」と、言ってもらい嬉しかったのですが
すこし ガクッ とも、きました。
なぜなら、本来木造建築は
大工棟梁が必ず図面を絵図板に書き写し
構造や、おさまりなどをイメージし、考え、確認しながら
墨付け、刻み作業を行っていました。
当然ながら、うまくいくか、いかないかは
すべて自分にかかっているので
無事建方が終わるまでは、
不安と心配で眠れないのが本音です。
しかし、
そのプレッシャーに耐え、無事上棟したときの
喜びと、達成感は何とも言えない最高!!!なものです。
(もちろん、毎回反省点はありますが)
苦労したぶん建物に大工の気持ちが入っていき、愛着が湧き
その気持ちが、施主さん、業者さん、に伝わり
最後にはみんなの気持ち詰まった最高の家ができあがるのです。
ちょっと脱線しましたが…
話を戻すと
私が凄いのではなく、
本来当たり前だった事が
当たり前ではなくなってきて
大工が刻んで家を建てるから、
プレッカットなどで加工したのを大工が組み立てる
に世の中が代わってきたんです。
こうした、現実を目の当たりにすると
ガクッ と、くるのです。
家は工業製品ではありません。
家族が楽しく暮らす場所
言わば、家も家族の一員で生きていると思っています。
自分の心の中の
当たり前が、当たり前ではなくならないように
私はこれからも絵図板を書いていこうと思います。